あっという間に夏が終わってしまいますね。クワガタのピークも既に去り、森の主役も一気に秋の虫に移り変わっているでしょう。
さて、今回はクワガタの飼育をしたことがある人なら一度は聞いたことがある「菌糸」についてのお話です。今回はコクワガタの幼虫を菌糸瓶で飼育し、市販のマットで飼育した個体と比較してみました。
そもそも菌糸って?
菌糸とは、破砕した木片にキノコ菌を植えたものであり、クワガタの幼虫飼育でよく使われるエサになります。
大きいホームセンターでも見ることができる、あの白い瓶の中身ですね。
↑こーゆーのです。
クワガタの成虫は、全身が固い外骨格に覆われているので、成虫になった後に体が大きくなることはありません。同じ種類でも全然大きさが違うクワガタを見たことがあるかもしれませんが、あの違いは幼虫時代に既に決まったものなのです。
クワガタの将来の大きさを決める要素は、幼虫時代の
- エサ環境
- 温度
- 遺伝
などが挙げられます。
遺伝に関しては、幼虫が生まれた時点で変えようがないので、既に飼育している幼虫を大きくするには、エサと温度管理を工夫すればよい訳です。
一般的に、菌糸で育った幼虫は大きくなるとされています。今回はコクワガタの幼虫を別々のエサで飼育した結果を紹介したいと思います。
なお、クワガタの種類によっては菌糸での飼育は向かないものもいます。実際に飼育する際には、店員さんに聞くかネット・本で調べるなりして菌糸飼育ができる種類かを事前に確認するようにしましょう。
コクワを菌糸で飼育してみた。
「もったいない」と思う方もいるかもしれません(実際、私も昆虫ショップの店員さんにそう言われました)。一般的に菌糸瓶は他の幼虫飼育用マット(発酵マットなど)に比べ割高になることが多いからです。コクワガタは「ドルクス属」と呼ばれるグループのクワガタで、このグループは菌糸と相性が良いことは知っていました。単純に大きくなるのかな、という興味で試したので、きっちり条件は作らず、飼育中のコクワの幼虫から1匹を選び出し、菌糸瓶に放り込むという方法で行いました。
幼虫の情報
- 種類:コクワガタ
- 数 :11匹(全て兄弟)
- 期間:大体2齢幼虫から(菌糸は1回交換)
- 条件:1匹だけ菌糸飼育(ほかは市販の幼虫飼育マット)
結果発表~!
菌糸で飼育した幼虫は、オスの成虫になりました。また、マット飼育の幼虫の内、3匹がオスになりました。(ほぼ女の子でした。えへへ)
その比較が下のようになります。
右下が菌糸で使用したコクワ、それ以外がマット飼育です。
兄弟同士なのですが、明らかに菌糸で飼育した個体が大きいですね。
個体数が少ないので、ちゃんとした比較とは言えませんが、菌糸飼育の効果はあったのかなと思います。
まとめ
コクワガタの幼虫を菌糸瓶で飼育した所、マット飼育の兄弟より大きく育てることができました。先述した通り、検証に使用した個体数が少ないので、菌糸が主な要因と断定することはできませんが、参考程度にはなるかと思います。
大きな成虫にしてあげたいと考えた時、温度管理は手間と費用が中々にかかるので、飼育を始めたての方には敷居が高いと思います。まずは簡単にできるエサに工夫を凝らしてみるのはいかがでしょうか?
おまけ
菌糸瓶で飼育した個体を野外品とも比較してみました。
左が菌糸飼育個体、右が関東某所で捕獲した野外個体です。兄弟の中では大きい方でしたが、飼育個体だからこその大きさとは言い難いですね。数字で言うと体長40mm前半なので、野外個体でも探せば見つけることができます。
コクワ(オス)のギネスは飼育下の方が大きいと記憶していますが、野外で大型個体を捕まえて繁殖するのも面白いかもしれません。
では、また逢う日まで。
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